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 古城はかろうじて壁の内側にある。これの位置から推測すると、カイの家は壁の外だ。  二人は壁に近づき上を見上げる。 「これのせいで町へ出てこれなかったんだわ」  ミーケルは壁を叩いてみた。重厚な音が反って来る。かなり分厚そうだ。古城の屋根よりずっと高い。とっかかりもないので登るのも無理だ。 「王様が壁を作ったのかしら?」 「いや……そんな噂は聞いてない」  ミーケルは砦に仕える剣士で、砦に集まる者同士よく情報交換をしている。数日前に姫様の体調が思わしくなくなり、城の医者では事足りず街からも医者を呼んだらしい。これは公表されていない事だが、城に仕える者なら誰もが聞いた噂だ。こんな大がかりな壁の建設となれば膨大な数の人間が動くはずであろうし、耳に入らないわけがない。 「明日砦で聞いてみる。誰もなにも知らないなら報告が必要だ。何か情報が得られるかもしれないしね」  マチルダは心配そうな顔で壁を見上げた。 「カイはどうしてるのかしら……」 「とりあえず、帰ろう。今日はもう暗いし何もできないよ」     
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