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「だったら何だって言うんだよ」
もし自分に力があったとして、このドラゴンを倒せる可能性があれば、俺は迷わずそうするんだろうかと、自分に問いかける。チビが好きだ。でも、このドラゴンが憎い。
何が正しいのか、どの道を歩けばいいのか。カイはわからなくなっていた。
俯いているカイにドラゴンは言葉を続けた。
その瞳はチビと同じに紅く燃えている。そして、とても静かで穏やかだ。
――君は弱い。だが、とても美しい。
――感謝の印に願いをひとつ聞き入れる。わたしと契約を結ぶんだ。
その言葉にカイは腹を立てた。
「お前に叶えられるもんか。そんなのわかってるだろ。二人を返せ」
――一度(いちど)死んだものはもうこの世界に戻せない。
「ならもう二度とドラゴンは人間を食べないと誓え! それが俺の願いだよ!!」
カイの頬をいつの間にか涙が伝っていた。
バカなことを言ったと、そう思った。
――わかった。では契約だ。私の力を君に分ける代わりに、君にも制約をかけるがいいか? それでこの国の全ての人をドラゴンから守ろう。
本気でいってるのか?
こいつバカなのか
契約ってなんだよ
考えるのも面倒だ
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