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カイの体は普通の人間よりはいくらか頑丈になっているだけであって、死ぬときは死ぬし、寿命が来ればそれはそれで終わりを迎えるのだ。
「まさか自分が不老不死だとでも思っていたのか?」
「思うよそりゃ……。何年たっても体は衰えないし、毒キノコ食べても気が付いたら爽やかな朝を迎えてたし」
ヴィダルは先のカイの命知らずな行動が、自分の母が説明を怠ったのもひとつの要因だったと思い知り、それを心からすまなく思った。
「母のせいで色々迷惑をかけた。謝る、と言ってもすべての元凶が母だったんだが……」
「別にお前が謝ることじゃない。それに俺はもうお前の母さんのことは……、怒ってない。うまく言えないけど、仕方がないって思うときもある。お前が責任を負って心苦しく思う必要はないよ」
ヴィダルはカイの言葉を黙って聞いた。
その言葉が本心だとしてもそうでなかったとしても、自分の苦しみを堪えてその言葉を伝えてくれるカイに感謝をした。
「お前の母さんは自分の命を燃やしてまで、俺の願いを……人間を守る方法を考えてくれたんだ。ヴィダル、俺の願いのせいでお前の母さんは本当の寿命よりきっとずっと早く死んじゃったんだ。むしろ俺はその事をすまなく思う」
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