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ヴィダルの言うとおりだ。なんにも変わっちゃいない。百年生きたって成長してないままだ。
「俺は馬鹿だ」
カイは文字通り頭を抱える。
ヴィダルは、背を丸めて今にも地面に溶けて行きそうなカイを優しい目で見つめて言った。
「君ならきっとそんな風に悩むと思っていた。考えがあるんだ。君が守りたかったこの国を、今度は私が。そのために君に会いに来た」
カイはすがるような目でヴィダルの顔を見た。強い意思の宿る瞳に、自信に満ちた表情。その顔はまるで本物の英雄のように心強く、カイの心をいくらか安心させた。
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