因果

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「……どういうこと?」  カイの目は大きく開き、口元は不安にゆがんでいる。 「君と交わした契約の魔法の規模が大きすぎて、母の力からすると契約者が一人では足りなくなった、この国全体に結界を張るにはかなり巨大な魔法でないといけない。地形にかける魔法を効率よく保つには、外と中に中継点を用意するんだ。外の中継点は君、そして中の中継点が彼女だ。丁度その時国の中心近くに居た人間を、母は契約者として選んだ。他にも居たろうが……なるべく人間として近い者同士の方が具合がいい、例えば産まれた日が同じだとか、年齢が同じとか……」  カイは頭を思い切り殴られたような気分だった。思考が動作を止め、目の前が完全に真っ黒になる。  ルシアをひどい目に遭わせた原因を作ったのは、他の誰でもない自分だったのだ。 「そんな……うそだろ」  胸に何か不快なものが込み上げてくる。喉が焼ける、吐きそうだった。  自責の念、という言葉では物足りないほどの最悪な感情が制限なく溢れ出し、血管を伝い全身に染み渡っていった。今カイの体を傷付けたなら、そこから流れるのは赤い血ではなく、真っ黒な罪悪感だ。 「……カイ、君のせいではないからな」     
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