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冷たくて、少し震えている。
触れあう瞬間にまた閃光が走った。カイは彼女の細い手を強く握りしめると、急いで檻の中へ押し戻した。
「大丈夫か!? 痛かったろ、ごめん」
「ちっとも」
いたずらっぽく笑うルシアの顔は少し赤く見えた。ランプの色でそう見えただけかもしれない。
カイの悲しい気分は徐々に静まりを見せていた。
まだ手にはルシアの冷たい温度が残っている。カイはその感覚を忘れないようにもう一度拳を握ってみる。
爪が手のひらに食い込んだが、痛みを感じない。
カイはもしこの檻がなければ、ルシアを抱き締めていたかもしれないと思った。
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