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カイは情けない声で答えた。
「でも、お前と契約したとしても、また俺たちが死んだら魔法は消えちゃうんだろ? それなら、もう……」
カイの言葉を遮ってヴィダルが声を上げる。
「ルシアの所へ行こう。この先は彼女にも関係のある話だ」
とまどうカイをよそに、ヴィダルの目はもうルシアの小屋の方向をしっかりと見据えていた。
「待ってよ、ヴィダル!」
ヴィダルの足取りは早く、カイは小走りでやっと彼と並ぶ。
「ルシアは、俺が死んだあと自由になれるのか?」
ヴィダルはカイの顔を見ずに、首を横に振って答える。
「君が死ぬとき彼女も死ぬだろう」
カイの心臓がぎゅっと縮み上がった。
あそこから出られることもなく、死を迎えてしまう。
思わず唇を強く噛んでいた。
ヴィダルの歩くスピードと表情にカイは不安を感じた。いったいルシアの前で何を話すというんだろう。カイの胸を嫌な感覚が襲った。何故か、激しくなった動悸がおさまらない。
「ヴィダル、やっぱり、」
カイがそう言ったとき、ヴィダルはルシアの小屋の扉を開いた。
「ルシア、話がある」
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