決断

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決断

 生きることは選択の連続だと誰かが言ったのを覚えている。それは二度寝をするかしないかという気軽なものから、人の運命を左右する、間違いの許されないものまで。  自分は人生のどこでその選択を間違ったのだろうと、カイは思い返していた。あるいは、間違いなどなかったのかもしれない。だが自身がいま置かれている状況において、カイは自分のしてきた選択を正しかったのだとは到底思えなかった。  どこでどのような答えを選べば、この苦しい地点を通らずにすんだのか。  ルシアをヴィダルの魔法で壁の外へ出すことはできないのかと聞いたとき、ヴィダルはすまなそうに答えた。 「契約者にかけられた制約を他の者が解除することはできないんだ」  レダの壁は今でもカイとルシアの生命力を吸い続けてそこに存在している。だから二人の命がつきれば壁も消える。  ヴィダルの話したのは、国全体を移動させるという方法だ。移動させるときに全てのエネルギーを使うので、ヴィダルとカイが死んだとしても元に戻ることはないという。  ヴィダルは言った。自分は母よりずっと若く、魔力も高い。今度は中継点がなくとも移動を完璧にすることができる。     
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