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「もし ここから出られることがあったとしたら、あなたに言いたいことがあるって」
段々と小さくなる声に、思わずカイは体を近づけた。ルシアの青い瞳に自分の顔が映っている。
「それなら俺も。言うかどうかは決めてなかったけど……今決めた、先に話していいか?」
ルシアは予想外の言葉に固まっていた。自分の台詞しか考えていなかったので彼への返答が思い付かない。黙っているルシアを見て、肯定ととらえたカイは言葉を続けた。
「君が好きだよ。たぶん初めて会ったときから。出来れば死ぬときまで一緒にいたい」
ルシアの言葉は出てこないままだ。代わりに涙が溢れた。その涙には、驚きと嬉しさと幸せが少しずつ入っている。
「ここに、俺と残ると言って欲しい」
カイは自分が言った言葉に、自分自身が一番驚いていた。それは確かに真実の気持ちだったが、自分がこんなに抑えがきかない人間だとは思っていなかったからだ。
「もちろん、ここに残るわ。あなたが居ればどこでも幸せだもの。たとえば檻の中でもね」
笑顔で自分を見上げるルシアを、これまで以上に愛しいと感じる。
「生きていてよかったって思ったのはこれが初めて。あなたが今話してくれたこと、私があなたに言いたかったことと同じなの」
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