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「君の魂が気に入ったんだ。次はもっと近くで、もっと長く君と過ごしたい。それに」
ヴィダルは人差し指を鋭く立ててカイの鼻先を指した。
「君が他人に粗相(ソソウ)をしないように私が注意してやらないとな」
「……ペットじゃないっての」
ヴィダルは面白そうに笑うと、両手のひらを上に向けて続ける。
「人間の魂はその肉体よりも特別美味いらしいぞ。それに食べれば魔力も格段に上がるとさ。まあ、私は食べないが……。とりあえず君の魂はキノコのスープ味だろう」
「いつか絶対殴る」
・
それから数日後の月の輝く夜、ほぼ同時に3つの魂が天に還(かえ)ったことを知る者はどこにもいない。
静かに旅立った命の行く先は、夜だというのに美しく、そして明るかった。
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