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涙
「サル! ここまで来ちまったのか!」
サルタエルがスーパの元へ戻ってきたのは、翌日の昼のことだった。スーパが砦で訓練を終え、休もうと思った矢先突然肩に重みを感じた。見るとサルタエルが優雅にそこに居たのだ。足には、昨日とは別の紙をくくりつけられて。
「ありがとうサル。よくやった。もうお前はうちに帰って父さんのハゲ頭にでも止まってな」
そう言って翼を優しく撫でてやり、サルタエルと別れた。別の隊のミーケルがこれを見て急いでスーパの元へと駆けてくる。
「カイから来たのか?」
「ああ、これだ」
ミーケルは急いで手紙を開いた。中にはあまり綺麗とは言えない字で、こう書いてあった。
”ミーケルへ
手紙ありがとう。俺は大丈夫。
心配してくれたんだな。本当にありがとう。
ここには家もあるし、水もある。
牛と馬もいるから、まあ寂しくないよ。
俺のために色々と考えてくれたんだな
でも、誰がどうしたって俺はこの壁を超えることはできない。
例え壁にドアが出来たって、俺はもうレダに戻ることはできなくなった。
もうこっちで生きると決めた。
俺のことは心配しないでくれ。
ミーケル、たぶんもう会えない。
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