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だが三日間暴風雨の音を聞き続けたせいでこの静けさに違和感を覚えてしまう。
ひとまずレダの壁に沿って東の方へと歩みを進める。
レダの壁。
約100年前に突如として現れた障壁。壁の向こうにはレダという国があり、円を描くように壁は存在する。壁に門や入り口はなく、隔離された中でも豊かな資源を持つレダは平和に国を維持している。中心には城がありこの国は王家が管理していた。
カイは壁を見上げる。この嵐でも壁はびくともしていない。分厚い木の幹が絡み合ってできたような壁だ。木々の間には隙間はなく、向こう側を見ることはできない。
カイは再び歩き始めたが、少しあるいたところで足を止めた。
いつもそこにあった岩がなくなっていたのだ。
その岩は、いつも壁に寄り添うように存在していた。特別大きな岩という訳ではないが、何もないこの森で活動するとき、カイはよくこの岩を目印にしていた。
岩があったらしき場所は地面がえぐれていて、雨で土が流れているようだった。
ぽっかりと地面が割れているのをカイは反射的に覗き込む。それは想像よりずっと深く割れていた。暗くてよく見えないが、奥の方に鉄の格子のようなものが見える。明らかに自然物ではない。
それはレダの壁の下にあるように見えた。
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