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「突然現れた壁よ。いつか、突然消えるかもしれないしね」
そういった彼女の声があまりにも震えていたので、ミーケルはもう少し目を閉じていようと決めた。
ミーケル達が手紙を届けたあの日。
カイは手紙を受け取り、返事を書き、サルタエルの頭を撫で、その隣で寝た。翌日、また手紙を付けてサルタエルを飛ばす。それまでの間に何度も彼が腕で顔を拭っていたこと。
それを知るのは、この世にサルタエルたった一羽だけだった。
六月に入ったある日、王室は壁についての情報を宣布した。それはミーケルが壁のことを城に報告してから約半年後のことだった。それまでの間、壁を調査する城の兵士及び科学者以外は近づくことを固く禁止されていた。
宣布された内容はこうだ。
・壁はレダ全体を円で覆っている。
・壁に門や窓はなく出入りは出来ない。
・壁を造った者は不明。
そして最後にこうもあった。
この壁を決して壊してはならない。
壁を越えることも許さない。
半年かけて調査されたのち、開示された情報はこれだけだった。
国民は口々にこの壁について噂した。
誰がなんのために作ったのか。
そもそもこんなに短期間でこれだけの物を作るというのは、人間にはなし得ない技だ。
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