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 先程までの笑顔が嘘のように彼は落胆している。ルシアはかける言葉を見失ったが、彼が自分のために起こしてくれた行動に対して誠意を示さねばならない。 「あのね、気にしないで。私はここから出られないの」 「違う。俺だからこの檻を壊せないんだ。普通の人間ならたぶん……さっきので壊せてた」  ルシアはその言葉を不思議に思った。どういう意味だろうと彼の言葉を待ったが、カイはそれだけ言うとまた黙ってしまった。 「見て」  そう言うと、ルシアはカイの視線を待った。だがカイはまだ目を上げることが出来ない。  ほどなくして先と同じ青白い閃光が走った。それは伏せていたカイの目にも十分に届き、彼は反射的に檻の方を見据える。 「私はこの檻から手を出すことも許されない。呪われているの」彼女の腕からは白い煙が微かに立ち上ぼり、そこは赤く負傷している。  それを見たカイは転がるように檻に近づくと、その格子から自分の腕を勢いよく中へと入れた。瞬間、バチバチとあの火花が飛び、彼の腕は外へと押し戻される。  ルシアは驚いてカイの顔とその傷付いた腕を交互に見る他なかった。乾いた喉から言葉がでない。 「俺もだよ」  ルシアは湿った空気を飲み込み、やっと口を開いた。 「私達、挨拶の握手さえできないのね」     
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