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この壁は地面から上は木で出来ているが、地面から下は鉄でできているのかもしれない。そうカイは思った。
だがおかしなことにその鉄格子の奥にも空間があるように見える。彼の好奇心は膨れ上がった。
急いで雨漏りのする家に戻り、物置小屋からスコップを探し出す。最後に使ったのはいつだったか。雨に濡れた手でほこりをかぶっていたそれを持つと、握ったそばからすぐに汚れた。
どうやら退屈な時間を過ごさずに済むらしいと感じたカイの足取りは軽い。
割れた地面の場所に戻ると、さっそく土を掘り返し始める。鉄格子の所まで掘るのにそう時間はかからなかった。
しばらく掘ったところでスコップを起き、彼はその中を覗いた。直後、からだが凍りつく。
「ヒィッ……!」
思わず息をのんだ。自分の意思とは別に変な声が上がる。
誰かいる!? そこに誰かいるのだ。カイは驚きのあまりそこを一目散に離れた。
え? どういう事だ? 誰かいたよ? なんでこんな土の中に?
でも全然動いていなかったし もしかしたら死体かもしれない?
カイが見たのは、鉄格子の中に広がる武骨な石畳の空間だった。簡素な作りの椅子に腰掛ける体勢で、何かがそこにいた。
カイは離れた所で、心を落ち着けようと意味もなくレダの壁を見上げた。
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