契約

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 ルシアの細い腿の側面には、痣というだけでは説明のつかない繊細な模様が浮かび上がっている。カイはこれが何なのか知っていた。何故なら自分の体の同じ部分にも、まったく同じものがあるからだ。少しばかり持ち合わせていたやましい気持ちが強風に煽られた砂のように消し飛ぶ。  ルシアは契約をしてないと言った。  だがこれは、まぎれもなく契約の刻印だった。
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