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突然泣きながら抱きついてくるビルギットに困惑しながらも、ルシアはその背中を優しく撫でる。
「どうしたのビルギット。泣いてちゃわからないわ……。ヘルマン、あなた何か知ってる?」
なんなのだこの娘は。気味が悪い。
ヘルマンは震える手を握りしめた。
「どきなさい。診察をする」
言われてビルギットは素早くルシアから腕を離した。
心臓が動いている。脈も正常だ。
「昨日の痣は? 脚を見せてください」
そこには昨日と変わらずあの奇妙な紋様が鎮座していた。
「痣はまだ消えてない……か。特におかしいところは見受けられません。体も至って健康そうだ」
ビルギットの顔がどんどん明るくなる。
「念のため、今日の晩も薬を飲んでください。陛下に報告をする、ビルギットお前も来い。」
「えっ 私もですか?」
「当然だ。お前が見たことを陛下に説明してもらう」
いらぬ疑いをかけられても面倒だ。こいつの腫れた目を見れば陛下も姫が一度は死んだことを信じるだろう。
「お入りなさい」
后の声を待ってから、部屋へと入る。
后はヘルマンの後ろにいたビルギットを見ると僅かに表情を変えた。
ヘルマンが最初に口を開く。
「報告があって参りました」
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