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ルシア・下
城では数日置きに従者が死んでいった。医者はこの死因不明の謎を調べるという表向きで、遺体を保管した。もちろん死因など、殺害した彼が一番よくわかっている。薬だと言われ毒を飲まされた哀れな者達の亡骸は、后の計画の終幕に使われる重要な道具だった。
完全に日が落ちた頃、それぞれ馬に乗った二人の男が城門を潜って出て行く。数日は戻ってこれないのだろうと思わせる、大荷物と一緒に。
二人は門を出るとすぐに鞭を振るい馬を急がせた。
「本当に死んでいるのか?」
しばらくして口を開いたのは、背の高い方の男、アールクヴィスト。彼は后の親衛隊の長官だ。
もう一人の男、オークランスは自分の前にも後ろにも大荷物を積んでいるが、取り分け大事そうに前の荷物に腕を回している。
「ええ、……現時点では」
「……とんだバカな話だが、俺達がこうしている以上本当の話なんだろう。意味の無いことをさせる陛下ではない。……だがさっぱり信じられん……死んだ人間が生き返るなんて」
「陛下のお話では、朝方には息を吹き返すそうです」
それを聞いたアールクヴィストは、苦虫を噛み潰したような顔をした。
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