ぬくもり

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 あなたが私を見つけてくださって本当に嬉しく思います。ありがとう、カイ。  眠りに落ちる間際に聞いたルシアの話を、カイは夢にまで見た。まっ暗闇の中でルシアの声だけが光る。  朝起きてもその話が頭から離れなかった。 ・ 「ここにさ、壁と屋根と扉を……つまり家を作ろうって思うんだ、どうかな?」  朝食を一緒にとりながらカイが話す。今日は目玉焼きと木苺、酸っぱいリンゴを添えて。どうやらルシアはこの酸っぱいのがお気に召したようだ。 「でも俺家なんか作ったことないから、そんなに上手くできるかわかんないけどさ」  ルシアは目を丸くして口の中のまだ大きな何かの塊を飲み込んだ。 「だってこのままじゃ風が入ってきて寒いだろ? それにこないだみたいに雨が降ったら濡れちゃうし、虫とかも入ってくるかもしれないよ。嫌だろ?」  カイは檻の外の石畳を見渡しながら言った。ここも少し段差を作って、水捌けをよくした方がいいかもしれない。 「でも、そんなの……悪いわ。私はここから出られないのに」  ルシアは不思議に思っていた。  どうしてこの人は、自分のためにこんなにいろいろと優しくしてくれるのだろうと。     
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