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奇妙な客・上
ルシアの檻の場所に小屋を作り初めてから20日が過ぎた頃、ようやくその小屋は見られる形になった。
小屋は開閉式の窓をつけて、晴れの日は太陽の光と風をたくさん取り込めるようにした。扉も大きく開(ひら)ける。初めて作ったにしてはなかなかいい出来映えだ。
「やっとできた……!」
カイは小屋の中からしみじみと天井を見渡す。低い天井だが、雨をしのぐには十分だ。
ルシアの方を見ると、彼女も笑顔で顔を赤くしている。
「すごいわ、カイ。素敵なおうちね」
ルシアは相変わらず美しい。出会った日と比べて違うところと言えば、健康的になった事と、今は熱心に檻の中で豆の皮を剥いているという所だけだ。まるで生き甲斐を見つけた老人のように(実際そうなのだが)毎日せっせと仕事をこなしている。あんまり楽しそうにしているので、豆がなくなったらなんて説明しようと、カイは少しだけ肝を冷やした。
ふと窓の外を見ると、雨が降りそうに雲はよどんでいる。
何気なく口からでた、「雨が降りそうだな、よかった、屋根が間に合って」という言葉にルシアは思い出したように叫んだ。
「屋根!!」
カイは驚いてルシアを見た。彼女は慌てた表情でカイに訴える。
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