カイ・上

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 自分の前にあった肉をすべて平らげたのに、カイの皿に照準を定めているドラゴンを見て思わずそう呟く。スプーンに入ったニンジンを|ドラゴン(チビ)の目の前に差し出すと、間髪入れずに食い付かれた。チビは目をパチクリさせながら、その塊を飲み込んだ。  テーブルの上に適当な箱を置いて、その中に温かな布を入れて小さなベッドを作ったのに、真夜中にチビはそこが気に入らないと鳴いてカイを呼んだ。 「どうしたんだよ」  眠い目を擦りながらベッドから降りたカイは、チビの様子を見に行く。 「寒いのか?」  カイがチビを抱くと、安心したように瞳をゆっくりと閉じる。しばらくして起こさないように箱に戻そうとすると、それを察知してチビは怒るのだった。 「どうしろってんだ?」  カイはチビを抱いたまま自分のベッドへと戻った。チビは目を閉じて眠る準備を始めているが、一方でカイが自分を離せばすぐに鳴き喚(わめ)く準備も整えている。  カイは渋々チビを自分の胸の上に置いて寝た。  寝返りだけは打たないように気を付けたが、チビの方は、カイの胸に爪で引っ掻き傷を付けないように気を付けてはくれなかった。
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