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ドラゴンは自分を呆然と見つめるカイにしびれを切らし、両足を大きく広げ頭を床に近づける。そのまま翼を目一杯伸ばしてから咆哮(ほうこう)を上げた。
――やっちまったよ……。
皿に入れられた肉を一生懸命に食べるドラゴンを見てカイはそう思った。
たぶんこいつはこれからもっと大きくなる。そうすると、今みたいに一緒にいられなくなる。
「お前の親はきっと今頃お前を探してるんだろうな」
ふと、このドラゴンを拾った日の事を思い出した。今なら、久しぶりに会う婆さんどもに口々に「あっという間に大きくなるねえ」などと言われる仕組みがよくわかる。
驚異の回復力で足の深い怪我もほとんど完治していた。ただ、傷跡だけは残っていたが。
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