偶然

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「本当だ。俺、無意識のうちにこんなカラフルな場所に立ってたんだ。」 その無邪気な驚きに、思わず笑みがこぼれた。 「さすがだね、美雨ちゃん。」 「有難うございます。」 階堂さんに誉められて、頭の後ろがむず痒くなった。 「おすすめの香りは何?」 「そうですね。イランイランの香り等は如何でしょうか。官能的で……」 「官能的?」 そう言って階堂さんは、私の顔を覗き込んだ。 「……大人の女性向きだと思います。」 「大人の女性ね。」 何故だか階堂さんは、クスクス笑い出した。 そうよね。 二十歳そこそこの大学生の女の子が、『官能的な香りです』なんて言っても、可笑しいだけだよね。 「ごめん。実はプレゼントする相手、若い女の子なんだ。」 「え?」 私は頭が固まった。
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