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「いいえ。父の言う通り、ろくでもない人だったんです。浮気はしょっちゅうでしたし、あまり仕事を真面目に考える人ではなかったですし……」
「へえ……」
池の鯉が跳ね上がる音が、虚しく響く。
「恋愛って難しいですね。相手をいいと思って傍にいたはずなのに、いつの間にかお互いの心が、離れていくなんて。」
そんな事を考えるのは、菜摘さんだけではない。
世の中の男と女、誰しもが思うことだろう。
だが、俺はそんな純粋な気持ちなど、一度も感じたことはなかった。
女は身長の高い男や、金を持ってさえいれば、自然に集まってくる。
そこには俺を純粋に思う気持ちなど、微塵もない。
要するに自分が連れて歩くのに、見栄えのいい相手。
自分が遊ぶのに、十分な金を持っている相手を探しているだけなのだ。
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