初めての夜 #2

1/35
前へ
/35ページ
次へ

初めての夜 #2

積極的に、若い人材に話しかけていた、夏目の父親とは大違いだ。 だが周りをチラッと見渡して、その意味がわかった。 その若い者たちと言うのは、皆、30代前半から30代中ばまでの、どれもそこそこ名の通った会社の男達だった。 「皆に、婿殿を紹介しようと思ってね。」 森川社長は、俺の肩を叩くと、どこかへ行ってしまった。 「おっと、失礼。」 考え事をしている間に、誰かとぶつかった。 「いえ、気になさらずに。」 そう答えて、何か飲み物を取りに行こうとした時だ。 「もしかして、『アーバン』の階堂社長ですか?」 「はい。」 俺の名前を知っているという相手は、俺の顔を見て、とても興奮しているようだった。 「僕は、田辺と言います。階堂社長と同じインテリアを扱う会社を経営しています。」 「へえ、同業者の方ですか?」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加