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初めての夜 #2
積極的に、若い人材に話しかけていた、夏目の父親とは大違いだ。
だが周りをチラッと見渡して、その意味がわかった。
その若い者たちと言うのは、皆、30代前半から30代中ばまでの、どれもそこそこ名の通った会社の男達だった。
「皆に、婿殿を紹介しようと思ってね。」
森川社長は、俺の肩を叩くと、どこかへ行ってしまった。
「おっと、失礼。」
考え事をしている間に、誰かとぶつかった。
「いえ、気になさらずに。」
そう答えて、何か飲み物を取りに行こうとした時だ。
「もしかして、『アーバン』の階堂社長ですか?」
「はい。」
俺の名前を知っているという相手は、俺の顔を見て、とても興奮しているようだった。
「僕は、田辺と言います。階堂社長と同じインテリアを扱う会社を経営しています。」
「へえ、同業者の方ですか?」
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