求めあう気持ち #2

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「婚約者?」 「いるんでしょう?取引先のお嬢様が。」 階堂さんはうろたえながら、髪を掻き上げた。 「そうか。誰かから聞いたのか?」 「階堂さんの会社の人が、そう言っていたんです。」 「おそらくその取引先から、急に発注が増えたせいだろう。」 こんな一回りも年下の私に、真面目に答えてくれて、階堂さんは面倒な女だと思わないのかしら。 「でも、それももう止めだ。彼女との婚約は破棄する。」 「えっ……」 「君と、出逢ってしまったんだ。他の人とは、結婚できない。」 そんな言葉を吐かれたら、体の中がドキドキしてきて、まともに階堂さんを見る事ができない。 「機嫌、直った?」 そしていつもの温かい口調。 「まだ足らない?」 そしてその温かい手で、私の涙を拭ってくれた。 「君が許してくれるまで、俺はここに通い続けるから。」
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