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心と体 #2
その時も案の定、求められたことだけ答え、そのまま去るつもりだったのだろう。
「そう言えば社長。」
「ん?」
「調べていて、その書類に書こうか、迷ったんですが……」
そこまで言った彼女は、また黙ってしまった。
いつもの彼女からすると、大変珍しい。
「いいんだ。何でもいいから教えてくれ。」
そう言うと秘書の子は、意を決したように、口を開いた。
「三科紘文の大学時代の同級生に、ご友人の夏目太我さんのお名前がありました。」
「夏目の?」
そうか。
夏目の大学時代の同級生か。
一旦、夏目に聞いてみるのも、一つの手だな。
「それと数年前ですが、夏目太我さんの妹さんに、関係を迫った経緯が残っていました。」
「関係?どういう関係だ?」
「すみません。そこまでは……」
あいつ……
美雨にまで、近づいていたのか。
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