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「その自信は行動に移った。タイミングを見計らって彼女と二人きりになることができた。今思えば、夏目の友人の俺に、粗相があってはならないと、彼女なりに必死に対応していたんだろう。俺がトイレの場所を知らないと言い、案内してくれと言ったら、簡単に案内してくれた。」
不思議に俺も菜摘さんも、なぜか他人事のように、その話を聞いていた。
「途中で誰も使っていない部屋を見つけて、咄嗟に彼女をその中に押し込んだんだ。不思議そうにこちらを振り返る彼女を、力任せに押し倒した。」
菜摘さんの目が大きく見開く。
自分の父親の男の部分など、娘としては聞きたくないはずだ。
「だが無残にも、彼女は俺のモノにはならなかった。彼女は、お腹の中に夏目の子を宿しながら、死に物狂いで俺に抵抗した。俺も必死だった。もう少しで欲しい物が手に入る。そこに相手への感情等、一欠けらもなかった。女を力でねじ伏せて、己の欲求をぶつけたのは、あの時一回だった。それでも彼女は、体を許さなかった。」
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