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「あの彼女の娘。君がのめり込む気持ちはわかる。菜摘と結婚すれば、愛人にしたっていい。」
「はい?」
愛人?
いくら森川社長だって、限界がある。
「本気で言っているんですか?」
森川社長は、少しだけ顔を上げた。
「自分の娘の結婚相手に、愛人がいてもいいと!?」
「階堂さん!!」
菜摘さんが思わず席を立ち、隣で俺をなだめてくれた。
「落ち着いて下さい。父は酔っているだけなんです。」
そうだ。
森川社長の、心からの気持ちじゃない。
本当は一番傷ついているのは、菜摘さんだと言うのに、それすらも気遣ってあげられない程、俺の胸の中は怒りに満ちていた。
「俺は嫌です。自分の結婚相手には、自分だけを愛していてほしい。家同士の、政略結婚も嫌です!社長がおっしゃる通り、結婚生活には信頼関係が一番大事です。だがそれも、お互いに愛があっての話だ!!」
「愛!?」
そう言って森川社長は、大きな声で笑い出した。
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