心と体 #2

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「何が可笑しいんですか?」 その高笑いが、今の俺には不愉快だった。 「可笑しいさ。30も半ばを過ぎて、愛?笑わせるな。」 森川社長の言っている事は、当たっているのかもしれない。 この歳になって、愛だの恋だの語るほうが、間違っているのかもしれない。 だが俺は、美雨に出会ってしまった。 自分の人生を賭けても、幸せにしたいと願う人に、出会ってしまった。 「森川社長。あなたは寂しい人だ。」 「なに?」 社長の眼光が鋭くなる。 「あなたがおっしゃる通り、愛だの恋だのと言うのは、この世の中、ちっぽけな事なのかもしれません。」 「だからどうした。」 「だが、少なくても俺は人を愛する事を知っている。それを教えてくれたのが、彼女です。俺は彼女を諦めません。一生。」 シーンと辺りが静まり返り、俺と森川社長は、しばらくの間、見つめ合った。 「その愛と言うものが、身の破滅を呼ばなければいいな。」 そう言って森川社長は、立ち上がって部屋を出て行った。
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