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邪魔をしてはいけない。
美雨はまだ大学生なんだ。
「じゃあ、がんばって。おやすみ。」
携帯を切ろうとした時だった。
『待って。今、どこにいるの?』
「どこって……」
いるよ 美雨の傍に。
本当はいつも、美雨の傍にいてあげたい。
「家でくつろいでいた。」
『うそ。』
「うそ?」
『敦弥さん、別な場所にいる。』
ふっと、心の緊張が解けた。
「敵わないな、美雨には。」
だがそう言った後、急に電話は切れてきまった。
「えっ?」
何が起こったのかわからないでいると、急に夏目の家の玄関が開いて、美雨がタタタッと走って外へ出てきた。
「敦弥さん!!」
息を切らして、俺の側に駆け寄ってきた美雨。
「やっぱり家の傍にいた。そんな勘がしたの。」
その勘だけで家の外に飛び出すなんて。
「こんな時間に外に出るなんて、危ないだろう。」
言葉とは裏腹に、美雨を強く抱きしめていた。
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