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俺はいても立ってもいられずに、席を立った。
「どちらへ?」
「夏目に会ってくる!」
「今日の夜は、森川社長との会合が入っています。」
森川社長……
最近、その名前を耳にしない日はない。
「他の日にできないのか!」
「本日はわが社の四半期決済が、130%を超えた事を報告する場でもあります。その一番の功労者が森川社長でございます。他の日程は難しいと思われます。」
抗えない現実。
いつの間に俺は、森川社長の手の平に乗ったのだろう。
「今は、堪えるべきかと思います。もう少しでわが社は、業界一位の地位に踊りでるのですから。」
俺は抗えない何かの力を感じた。
自分の事なのに、自分の事ではないような気がした。
「わかった。」
俺は一言だけそう告げると、自分の席に座った。
やけに胸騒ぎを覚える。
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