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「…どう……してぇ……?」
「美雨からしたら……俺、なんて…もうすぐおじさんだろ?」
俺の腕の中で、美雨は“ううん”と首を横に振った。
「今の、敦弥さん…が……いいの……」
そして恥ずかしそうに口元に当てていた腕を、俺の胸に当てた。
「ずっと年上の人でも…もうすぐ…おじさんになる人でも……敦弥さんじゃなきゃ…敦弥さんじゃなきゃ…いやなの…」
「美雨…」
俺にはもう美雨しかいないって、年甲斐もなく思っているのに。
これから先美雨には、俺以上の男が現れて、俺の知らない間に美雨を連れ去っていくかもしれない。
そんな事を考えたら、急に視界がぼやけてきた。
「…泣かないで。」
「泣いてなんか、いないよ。」
嘘がバレないように、美雨の白くて長い首元に、顔をうずめた。
「ねえ…敦弥さん……私の、お願いも、聞いて……」
「なあ…に……」
「もっと…激しく……抱いて………敦也さんの、全部が、ほしい……」
ああ、本当に俺は、美雨がいなければ、生きていけない事を、その時知ったんだ。
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