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美雨の兄である太我が、家に帰ってきたのは、昼もすっかり過ぎていた頃だった。
「は?階堂?」
「よっ!太我!!」
「何が急に太我だよ。って言うかなんで階堂が、日曜日に俺の家にいるんだよ。」
出張に行っていたという太我は、大きな旅行カバンを肩に乗せ、リビングの入り口でボーっと立っていた。
「あら、兄さん。お帰りなさい。」
美雨がエプロン姿で、遅い昼食を用意してくれていた。
「なんだ、美雨。わざわざ階堂の為に、昼飯用意したのか?」
「兄さんのもあるわよ。」
そう言って美雨は、太我の席にも今作ったばかりのオムライスを置いた。
「やけに用意がいいな。」
「だって兄さん、出張に行った次の日はいつも、この時間に帰ってくるでしょ?」
「そうだけどさ…」
大我は腑に落ちないような表情で、カバンをソファにドサッと置いた。
ピシッとアイロンのきいたシャツの袖をまくって、自分の席にある椅子に、勢いよく座った。
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