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「太我。」
「ん?」
「出張から帰ってきた割には、いいシャツを着ているな。」
「そうかな。」
少し疲れているせいなのか、それとも自分の自宅という事が、余計な力を抜かせているのか、彼は俺の知っている以上に、リラックスしている様子だった。
「兄さんにはね。甲斐甲斐しく世話をしてくれる人がいるのよ。」
「へえ。」
美雨が嬉しそうに、俺に報告する。
「へえって、階堂にもいるじゃないか。世話してくれる人が。」
「まあ…な。」
否定もしなかった俺に、疲れていた太我が急に身体を起こした。
「やっぱり噂は本当だったのか。」
「噂?」
太我はようやく、美雨の作ったオムライスを、頬張りだした。
「ああ、階堂と森川社長のお嬢様が、結婚するんじゃないかっていう噂。」
その途端、キッチンからガシャンッという音が聞こえた。
「おい!大丈夫か?美雨。」
大我に声を掛けられた美雨からは、返事がない。
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