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「どけよ、美雨。」
「嫌よ!」
そう言い放った美雨を押しのけて、太我は俺の胸倉を掴んで、立ち上がらせた。
「階堂。あんたは俺より一回り以上も年上だけれども、仲間とか同志とか、それ以上に親友だと思ってたんだ。それを!人の妹で遊びやがって!そんな奴だったのか!!!」
俺は胸にある太我の拳を、力づくで振り払った。
「遊んでなんかいないさ。本気だ。」
「はあ?」
「本気で美雨を愛している。」
その言葉に、太我は冷静になったのか、俺から手を離して一歩二歩下がると、またリビングへと戻って行った。
「敦弥さん。」
側に寄ってきた美雨を、そのまま強く抱きしめた。
「ごめん。心配かけた。」
「ううん…わたしこそ。疑ってごめんなさい。」
その様子を、遠くで見ていた太我が、また疲れたように椅子に身体を放り出して座った。
「おまえの気持ちはわかったよ、階堂。」
「太我……」
「だけど階堂。事態は思ったよりも難しくなるぞ。」
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