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「すまないね、女将。」
勘定を払うのは、俺だと知っているだろうに。
「嫌ですよ、今更。」
これでも女将は、俺が一番大事な時の接待相手だと、知っているのだろうか。
それともこれで気に入って貰えれば、森川社長に御ひいきにして貰えると思っているのか。
日本酒の注がれたグラスを持ち、俺と森川社長と菜摘さんは、乾杯を交わした。
「うん、美味い酒だ。」
森川社長が美味いと言う程だ。
女将は余程、奮発したのかもしれない。
次々と運ばれてくる豪華な料理に、二人とも満足した表情だった。
やはりこの店に連れて来て、正解だと思った。
「こんなに美味しい店は、久しぶりだな。」
ふいに森川社長が、言葉を漏らした。
「気に入って頂けましたか?」
「ああ。十分だよ。」
森川社長のグラスが空いたのを見計らって、菜摘さんがお酒を注ごうとする。
それを受け取って、社長に注いだ後、菜摘さんにも注いだ。
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