心と体 #2

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「すまないね、女将。」 勘定を払うのは、俺だと知っているだろうに。 「嫌ですよ、今更。」 これでも女将は、俺が一番大事な時の接待相手だと、知っているのだろうか。 それともこれで気に入って貰えれば、森川社長に御ひいきにして貰えると思っているのか。 日本酒の注がれたグラスを持ち、俺と森川社長と菜摘さんは、乾杯を交わした。 「うん、美味い酒だ。」 森川社長が美味いと言う程だ。 女将は余程、奮発したのかもしれない。 次々と運ばれてくる豪華な料理に、二人とも満足した表情だった。 やはりこの店に連れて来て、正解だと思った。 「こんなに美味しい店は、久しぶりだな。」 ふいに森川社長が、言葉を漏らした。 「気に入って頂けましたか?」 「ああ。十分だよ。」 森川社長のグラスが空いたのを見計らって、菜摘さんがお酒を注ごうとする。 それを受け取って、社長に注いだ後、菜摘さんにも注いだ。
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