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その話を聞いていた俺は、興奮して立ち上がった。
「いつだ!いつの話だ!!」
太我はそんな俺を椅子に座らせ、また酒を注いでくれた。
「美雨が高校を卒業して、大学に入学する前の時だ。」
「許せん。三科紘文は、そんな奴だったのか!!」
怒り狂う俺を横目に、太我は意外と冷静だった。
「太我?」
「ああ…」
また静かに一点を見つめる太我に、俺も酒を注いだ。
「その後だった。三科の兄貴が、自殺したと聞かされたのは。」
酒を注ぐ手が止まり、俺はゆっくりとワインのボトルを、テーブルの上に置いた。
「三科の兄貴も、俺は知っていた。俺達若手の中で、いつも話題になっていた。あのS社の三科という奴は、最も勢いがある人材だと。」
「そうだったのか。」
三科紘文が言っていた、『菜摘さんの為に、兄は頑張っていた』というセリフと一致する。
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