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「だが、そのやり方も話題の一つだった。」
「やり方?」
「ああ。三科の兄貴は、森川社長のお嬢様の為に、上の昇ろう昇ろうと必死だった。だがその必死さが、返って手を汚すことになったんだ。」
なんとなく嫌な予感がした。
「もしかして……女に取り入ったのか?」
「ああ、そうだ。大会社の秘書、社長のお嬢様、果てには社長の未亡人や、社長婦人と寝てまで、仕事を取っていた。」
ふと、森川社長と菜摘さんの言葉が浮かぶ。
『あいつは、碌な男ではなかった。』
『元々、女にだらしない人だったんです。』
そこで全てが繋がったような気がした。
一人の女性の為に、全てを犠牲にして、上に昇り詰めようとしていた男。
だがそれは、周りには受け入れられずに、結果的には幸せにしたい女性からも、拒否された。
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