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「えっ……」
私は持っているバッグを、そのまま落としてしまった。
「今、階堂さんは大変な事になっているわ。このままでは、階堂さんの会社が無くなってしまうの。」
必死な訴え。
疑わなくてもわかっている。
だってここに来る前に、三科紘文からその話を聞いていたから。
「原因はわかっているの……私の父の我儘なのよ。階堂さんは、何も悪くない。」
菜摘さんという女性も、苦しい表情をしていた。
「それでも、階堂さんを救う方法は、たった一つだけなの。」
「それが…私と別れること……なんですか?」
私は力なく尋ねた。
「そうよ。あなたと別れて、私と結婚することよ。」
結婚!?
目の前のこの人と?
階堂さんが?
「嫌よ!そんなの…間違っているわ!!」
私は頭を抱えて、その場に座り込んだ。
「だって!結婚って、愛し合う二人が永遠を誓うことでしょう?どうして敦弥さんが、私以外の人とそんな事を誓えるの!?」
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