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私以外の女が、敦弥さんの“妻”と呼ばれて。
私以外の女が、敦弥さんに“妻”として抱かれるなんて。
そんなの、耐えられない!!
「美雨さん…」
菜摘さんという女性は、私の側に腰を降ろした。
「あなたの気持ち、とてもよくわかるわ。」
震える声。
「私もあなたと同じ事を、思っていたもの。」
そして菜摘さんは、私の肩をそっと抱きしめてくれた。
「でもね。それだけじゃあ、結婚できない時があるの。あなたも私も…階堂さんも……」
その言葉の後は、何も続かなかったけれど、菜摘さんの気持ちが伝わってきて、私の目からは自然に涙が零れた。
菜摘さんも、もしかしたら好きな人と結婚できなかったことがあったのかしら。
それはなぜ?
もしかして、森川社長のお嬢様に生まれたから?
お父さんに反対されたのかしら。
私は今の胸の痛みを和らげる為に、目の前にいる菜摘さんの叶わなかった恋を勝手に想像していた。
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