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私はフラフラになりながら、壁伝いに身体を立ち上がらせると、バッグを持ってエレベーターの外に出た。
そして、一歩ずつ敦弥さんのいる社長室へと、歩きだした。
何を言われるんだろう。
その答えはいつもの優しい敦弥さんが、教えてくれた気がする。
『美雨と別れる?ハハハっ!そんな事、あり得るわけないだろう。』
そうよ。
きっとそうだわ。
そう言って、敦弥さんは笑い飛ばしてくれる。
私は敦弥さんを信じて、社長室のドアを開けた。
暗い部屋の中、机のパソコンだけが、明るく光っている。
「敦弥さん?」
私の声に驚いて、パソコンの前に座っている人が、こちらを見る。
「あの……階堂敦弥さんは、いらっしゃいますか?」
その問いかけに、その人は急に立ち上がると、机を通り越して、ドアの近くにある電気のスイッチを入れた。
パッと部屋の電気が付き、一瞬で部屋が明るくなる。
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