優しい雨 #2

14/24
前へ
/35ページ
次へ
私はフラフラになりながら、壁伝いに身体を立ち上がらせると、バッグを持ってエレベーターの外に出た。 そして、一歩ずつ敦弥さんのいる社長室へと、歩きだした。 何を言われるんだろう。 その答えはいつもの優しい敦弥さんが、教えてくれた気がする。 『美雨と別れる?ハハハっ!そんな事、あり得るわけないだろう。』 そうよ。 きっとそうだわ。 そう言って、敦弥さんは笑い飛ばしてくれる。 私は敦弥さんを信じて、社長室のドアを開けた。 暗い部屋の中、机のパソコンだけが、明るく光っている。 「敦弥さん?」 私の声に驚いて、パソコンの前に座っている人が、こちらを見る。 「あの……階堂敦弥さんは、いらっしゃいますか?」 その問いかけに、その人は急に立ち上がると、机を通り越して、ドアの近くにある電気のスイッチを入れた。 パッと部屋の電気が付き、一瞬で部屋が明るくなる。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加