優しい雨 #2

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そして現れたのは、髪はボサボサで、髭も生やしっぱなしの一人のオジサンだった。 「美雨!」 「……敦弥さん!?」 私は驚きを隠せなかった。 ヨレヨレのシャツ。 何日も着替えていないのか、首元の襟は少し汚れていた。 顔もなんだかしばらく会わない間に、老けたような気がした。 「まさか、ここに来てくれるなんて、思ってもみなかった。」 でもその笑顔は変わっていなかった。 「ハハハっ!驚くよな。こんな姿になっちゃって……」 恥ずかしそうに、ボサボサの髪を頭で掻いている。 「もう少しで仕事に目処が立ちそうなんだ。そうしたら美雨に会いに行くよ。」 私は顔を両手で押さえた。 「って言うか、その前に風呂か!」 何一つ変わっていない。 仕事に一途で、真っ直ぐな敦弥さんが、そこにいた。 私がいるばっかりに、菜摘さんとの結婚を断って。 そのせいで、理不尽に会社の倒産の間際に立たされて。
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