優しい雨 #2

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「妄想?」 「そんなモノ、この世に存在しないって事だよ。」 私は後ろに下がって行く身体を止めて、目の前の三科紘文を、睨んだ。 「この世は金だ。仕事も恋愛も、結婚生活も。金さえあれば全てうまくいくんだよ。」 「そんなことないわ。」 「それはね、美雨ちゃん。君がまだ甘えんぼの子供だから言えるんだよ。」 そうかもしれない。 今は勉強やバイトで精いっぱいで。 ただただ、敦弥さんとの恋愛に、溺れていただけなのかもしれない。 「さあ、雑談は終わりだ。あんたは、俺の女になって俺の身の回りの世話をする。その代り、俺はあんたの兄貴と恋人を助けてやる。うまくいけば、またどっかでサラリーマンやっていけるんじゃないか?」 彼はまるで、他人事のような軽い口調で、私達の人生を語った。 「心配するなよ。俺はあの二人みたいなヘマはしないさ。一生食べていくのに苦労はしないと思うぜ?」 そして、その唇を舌で舐めまわした。
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