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「もちろん。毎晩毎晩、可愛がってあげるよ。『愛』って奴が欲しいんだろ?」
「断るわ。」
私は強い眼差しで、彼の取引を撥ね退けた。
「あっ、そう。あの二人がどうなってもいいんだ。」
意外だったのは、私の答えをあっさり受け入れた事だった。
「案外、おバカさんだったんだね。ラストチャンスを断るなんて。」
「私、ラストチャンスだなんて、思っていないわ。だって、あの二人の事を信じているもの。」
「あっ、そう。」
そして、またあっさりと引き下がった彼。
「あ~あ、つまんねえの。また面白い兄妹愛みたいな物が見れると思ったのになぁ。」
呆れるのは、彼はおもちゃを買って貰えなかったような子供のように、本当につまらなそうな表情を見せた事だ。
「まあ、別にいいか。当人同士がそれでいいって言うんだから。」
そう自分を納得させて、挨拶も無しに三科紘文は、、私の元から離れて行こうとした。
「あっ、そうそう。あんた変わったね。」
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