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そして私は敦弥さんが、『君の事をいつまでも待っているから。』と言ってくれたあの交差点を曲がった。
曲った先に、敦弥さんの会社があった。
広場を抜けたあのビル。
あのビルの最上階に、敦弥さんのいる社長室があった。
窓には、まだ明かりがついていた。
「敦弥さん。」
私は居ても立ってもいられなくて、敦弥さんの会社の中に入って行った。
受付は既に真っ暗。
この中を進むのでさえ、怖いくらい。
私は息を飲み込むと、エレベーターに向かって歩き出した。
あれに乗れば、敦弥さんのいる場所まで、私を連れて行ってくれる。
無我夢中で、そのエレベーターの前まで歩いた。
もう少しで着く。
そんな時だった。
「誰だ!」
強い言葉と強い光。
思わず顔を手で覆った。
「どうやって入った?不法侵入だぞ!」
声に主の元を見ると、微かに見える黒い制服。
警備員だった。
「す、すみません。あの……忘れ物をして……」
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