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咄嗟に出た言葉が、それだった。
「忘れ物?このビルに入っている会社の従業員の方?」
「はい。」
嘘をついた。
なんとか誤魔化せないかと、じっとしていた。
「じゃあ、社員証見せて。」
「えっ?」
「社員証!あるでしょ。このビルの会社で働いてるんだったら。」
ゴクンと、息をのみ込んだ。
「はい、出して。」
「えっと……待って下さいね。」
カバンの中を探すふりをした。
もちろん社員証なんて持っていない。
どうしよう。
どうしよう!
「あれ……おかしいな。確かにここに入れてあるはずなのに……」
必死に演技したつもりだったけれど、警備員さんはごまかせなかった。
「君、やっぱりここの従業員じゃないね。」
一歩、また一歩、警備員さんが私に近づいてくる。
「来い!警察に突き出してやる!」
警察!?
私は急いでエレベーターに向かうと、急いでボタンを連打した。
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