優しい雨 #2

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咄嗟に出た言葉が、それだった。 「忘れ物?このビルに入っている会社の従業員の方?」 「はい。」 嘘をついた。 なんとか誤魔化せないかと、じっとしていた。 「じゃあ、社員証見せて。」 「えっ?」 「社員証!あるでしょ。このビルの会社で働いてるんだったら。」 ゴクンと、息をのみ込んだ。 「はい、出して。」 「えっと……待って下さいね。」 カバンの中を探すふりをした。 もちろん社員証なんて持っていない。 どうしよう。 どうしよう! 「あれ……おかしいな。確かにここに入れてあるはずなのに……」 必死に演技したつもりだったけれど、警備員さんはごまかせなかった。 「君、やっぱりここの従業員じゃないね。」 一歩、また一歩、警備員さんが私に近づいてくる。 「来い!警察に突き出してやる!」 警察!? 私は急いでエレベーターに向かうと、急いでボタンを連打した。
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