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「じゃあ、お疲れ様です。」
「お疲れさん。」
事務の女の子と別れて、正反対の道を歩きだした。
いつもの帰り道。
だが、この日はなんだかいつもとは違う雰囲気を感じていた。
いつも見えている小さな星明かりが、今日は見えない。
「曇ってるのか。」
自分の心を映し出しているような気がして、足を止めた。
あの後、俺の会社は倒産。
なんとか、自分でまた店をやれないか、知人を駆けずり回ったけれど、皆、森川社長を恐れてか、協力は貰えなかった。
なんとか再就職口を見つけたが、生活は一変してしまった。
でも最近は、サラリーマン生活も、慣れれば気が楽になってきた。
少しだけ前向きな気持ちをになって、また止めていた歩みを動かし始めた時だ。
ポツッと、冷たい物が俺の頬に当たった。
辺りを見ると、道路が濡れている。
「なんだよ。本当に降ってきた。」
人の言う事は、聞くものだなと思いながら、足早に帰り道を急いだ。
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