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俺の足取りが早くなるのと同時に、雨足も早くなって、これはダメだと思いながら、今度は雨宿りする場所を見つけた。
ザーっという音を聞きながら、スーツについた雨粒を振り払った。
ああ、そう言えば。
夏目の家に初めて行った時も、同じ事をした。
そんな事を思い出していると、水たまりを避けて走る、誰かの足音が聞こえてきた。
その足音は、俺の隣で止まった。
スカートが見えて、その人は女性なんだとわかった。
肩にかけてあるバッグからハンカチを出そうとしていて、その女性は戸惑っていた。
しばらくはその様子を、見て見ぬ振りをしていたけれど、あまりにも長い時間、バッグの中を探しているものだから、俺はとうとう放っておけなくなった。
スーツのポケットから、黒と赤のチェック柄のハンカチを出して、改めて綺麗なハンカチを今日は持っていてよかったと思った。
「あの……よろしければ、これ使って下さい。」
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